師匠、菅沼孝三さんの事。

先日、ツイッターのフォロワーの方と「師匠」というキーワードが話題になりました。
私の師匠は、菅沼孝三さんです。付き合いとしては15年以上になります。

ちょっと長くなりそうなので、前編後編とかになっちゃいそうですが、今の私の想いを全部は書けないですが、あえてこのBlogに書こうかと思います。

【嫌いだった】
私がドラムを始めた当初は、X JapanのYOSHIKIさん一色の高校生でした。
当時は今の様に情報があまりなかったので、ドラムに関する情報はドラムマガジン位でした。
当時、ドラムマガジンのコーナーで「あの人に習いたい」がありました。
その担当が孝三さんだったのですが、はっきり言って、当時は孝三さんの事が大嫌いでした。

良い意味でも悪い意味でも、真面目過ぎたのでしょうか。記事の中ではギャグばかり。
「神聖なドラムに対して何て人なんだ!」
そんな事を思っていました。当時はテレビの音楽番組で取り上げられる様なミュージシャンしか知らなかったし、どんな実態かも知らなかった。
※追加。
この話はちょっと前に孝三さんにしました。
「そうだろうね・・笑」というリアクションでした。

【衝撃を受けた1枚】
そんな私に転機が訪れたのは高校2年生の春だった。
ドラマガの100号記念をたまたま古本屋で見つけて買った。
そこに孝三さんのバンド「Fragile」の2枚目のアルバム「Handle with Care」が紹介されていた。
記憶は定かでないが「超絶技巧の教科書的なアルバム」と書かれていたと記憶している。
一度だけ聴いてみるか。そう思って近所のCDショップで注文をした。
しばらくしてCDを手に入れた。正直期待していなかった。

そして、1曲目のHandle with Careが流れた。
今まで聴いた事もない様なギターのリフ。そしてベースライン。そこに絡む圧倒的な存在感を放つ孝三さんのドラム。

頭を殴られた様な衝撃。
なんという表現を使ったりするが、私の場合はそれを遥かに超える「自分という人間が破壊された。」というべきだろうか。そのくらい衝撃だった。私の拙い文章力ではその時の衝撃をどうしても伝えられない。

1曲目が終わるとリピートした。何度もリピートした。矢堀さんのギター。水野さんのベース。孝三さんのドラム。最近では何でもない事でさえ「神」なんと表現するが、この時まさに「神」を感じた。

その後、このアルバムを全て聴き終わるまでに1週間掛かった。これは冗談ではなく本当だ。特に3曲目のSarasvati。
リズムパターンも生まれて初めて聴くし、なによりドラムソロが衝撃的だった。
この話を続けると長くなるので、この辺りで。

このCDを聴いた瞬間から、僕の頭の中は菅沼孝三で一杯になった。
今まで買ったドラムマガジンを引っ張りだして、孝三さんの記事を読みふけった。
「なんて凄いドラマーなんだ!」
私のドラマーライフ、いや。私の人生は孝三さんとの出会いで大きく変わったと思う。

【孝三さんとの出会い】
それから毎日孝三さんの事ばかりだった。ドラマガを買っては孝三さんの記事をチェック。孝三さんが執筆した記事も当然すべてチェックしていた。
少ないお小遣いを貯めて、コーゾー・コーポレーションからCDやビデオを買った。
吹奏楽部の練習が終わり、帰宅すると毎日教則ビデオ見た。
最近になって、その当時の親の心境を聞いた。
「怪しい人にハマって、大丈夫かしら。」
あまりに毎日ビデオは見るわ、会話も孝三さんの事ばかり。相当心配だったようで。

程なくして、ドラム道場本校の体験レッスンに参加する事にした。
高校2年の夏休み。このタイミングしかなかった。
事務所の前に到着した時、緊張のピークだった。口から心臓が出るんじゃないかと思った。
事務所に孝三さんがいた。隅っこでノートパソコンと睨めっこしていた。
鮮明に覚えている。
「体験レッスンで来ました。」
言葉少なく挨拶をすると、にこやかに笑って会釈してくれた。たまらなく嬉しかった。

体験レッスンが始まった。緊張で何をしたかほとんど覚えていないが、課題曲を一緒に叩いた時に目が合う笑ってくれた。幸せで幸せで。

この時、絶対に孝三さんの弟子になる!そう強く思った。
次の日部活の昼休み中に何気なくドラムを叩いてみた。
周りの部員から「音が変わった。」そう言われた。

【ドラム道場に入門】
高校を卒業後、千葉市の短大に進学した。
本校まで遠かったのでプライベートレッスンを受ける事になった。
結論からいうと、事情によりプライベートレッスンは10回も受けられなかった。
でも、毎年道場の発表会に出たり、可能な限り都内で行われる孝三さんのライブは見に行った。

ドラム道場に入門してから、さらに孝三さんへの尊敬の気持ちは強くなる一方だった。
発表会では、誰よりも動く。誰かが失敗したら、さりげなく声を掛ける。
忘年会や新年会でも自分は座る事もなく、出し物を盛り上げていた。
あれ程の日本を代表する様なドラマーが誰よりも動く。気配りをする。
威張る事もなく、穏やかな眼差しで弟子を見守る。そして超人的なドラムプレイ。
その人柄、ドラムに対する姿勢。全てが目指したい姿だった。

私が孝三さんに怒られた事はほとんど無い。
プレイに関してはほとんど無い。一緒にライブをする様になっても無い。
怒られる事があるとしたら、イベントの進め方だったり、プレイとは関係ない事だった。
しかし、それはお客様あっての私達。そういう思いを感じるものだった。
ドラマーの前に一人の人間。私にはそう感じた。

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やはり長くなるので、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。

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